残穢

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 ジャパン・ホラーの魁となった大ヒット作「リング」で、テレビから這い出してきたサダコに殺される女子高生役を演じていた竹内結子さんと、「寄生獣」でヒロインを演じていた橋本愛さんが共演。
 鈴木謙一の脚本は、怪奇作家を演じる竹内結子のナレーションによって始まる。マンションの一室から聞こえる不気味で幽かな音をめぐって、音の正体を調べていく女性作家と女子大生(橋本愛)を探偵役にして、かつて福岡で起きた悲惨な炭坑事故にその源を探るまでを巧みに描いている。
 小野不由美の原作を、鈴木脚本は適切に解体して、映画的に再構築できている。「白ゆき姫殺人事件」「予告犯」と、ミステリー作品の演出を手堅く重ねてきた中村義洋監督は、随所に埋められた恐怖描写をことさら誇張することなく、静かに坦々と描くことを心掛けている。作品がこけおどしの駄作にならずにすんでいるのは、丁寧な撮影や美術、音楽を含めた監督の演出手法の手柄だといえる。
 中村演出は、小道具にも十分な役柄を与えている。怪奇現象の源となる家の菩提寺にある娘の掛け軸は、ラストのクレジットが流れ終わるまで仕事をしている。マンションの過去を明らかにしていく古い地図。過去の新聞記事や、法務省の記録。ヒロインたちに与えられるこれらの小道具が大きな意味を持ち、真相へと辿りつけるように、物語は周到に設計されている。
 ラスト近く、ヒロインの怪奇作家にも呪いの手が伸びることが暗示され、怪奇雑誌の編集部に異形の男が姿を現し、自殺者の出た部屋を借りた青年の部屋にも首吊り女が現れるが、最後のまとめ方にはもう少し工夫があってもよかったと思う。怪奇作家夫婦が移り住んだ新居の土地そのものにも過去があることや、転居した女子大生にも新たな恐怖が訪れることを示してラストにした方が適切ではなかっただろうか。異論は分かれるところだ。

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  • 残穢-住んではいけない部屋‐

    Excerpt: 残った穢れ(けがれ)と書いて、残穢(ざんえ)。ホラーのような予告だったけど、内容は謎解きサスペンス。テンポよく展開も早く飽きさせない。。謎解きについて聞くのは大変だけ ... Weblog: たび☆めし☆うま BLOG racked: 2016-03-06 00:31