老後の資金がありません!(21年公開DVD)

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主人公の主婦を演じる天海祐希よりも、その義母を演じる草笛光子の印象がはるかに強いコメディーになっている。老舗和菓子屋の妻で店をたたんだ後は夫婦でケアハウスに暮らし、貯金は海外旅行で使い果たした、芳乃(草笛光子)。高級品が好みで、長年世話をしてきた娘(若村麻由美)に、長男(松重豊)は毎月9万円仕送りをしてきた。だが、父親が死んで、芳乃は未亡人に。長男が父の葬儀の喪主となる。しかも、長男の会社は倒産。仕送りが出来なくなったので、代わりに芳乃を引き取ることに。苦しい家計をやりくりしてきた長男の嫁・篤子(天海祐希)は浪費癖の治らない芳乃に苦しめられることに。芳乃は高級和牛を買い、ヨガ教室に顔を出す。この場面も面白い。実年齢88歳の草笛光子の身体がとても柔らかい。クライマックスの生前葬で歌う「ラストダンスは私に」の歌声も素晴らしい。松竹歌劇団から映画界へ移り、数多くのミュージカルで華やかに活躍してきた老女優のきらめきは消えていない。作品のテーマはタイトルのように老後の資金が足りない夫婦の現実ということだが、最後は持ち家を売って夫婦でシェアハウスに移るという結末。貯金700万円の熟年夫婦に、父親の葬式、娘の結婚、義母との同居、パート勤務の解雇、夫の失業、義母を狙ったなりすまし詐欺、と次々に難題が降りかかってくる。テレビや新聞で話題になった老後問題、年金問題をてんこ盛りにしたために、印象が散漫になってしまった。せっかく生前葬で盛りあがったのに、芳乃が娘に引き取られていく結末も不可解だ。垣谷美雨の原作、斉藤ひろし脚本、前田哲監督作品

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