草の響き(21年公開DVD)

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佐藤泰志原作、加藤仁美脚本、斉藤久志監督作品。函館の海岸線を主人公の和男が走る場面が印象的な作品だ。東京の出版社で編集者をしていた和男(東出昌大)は、会社の後輩の純子(奈緒)と結婚したが、それが和男の心に無意識の重圧を与えていた。クリエイティブな仕事をしたいと望んで入った出版社だったが、仕事の重圧と妻に対する心の重みが和男の心身を乱してしまう。出社できなくなった和男を心配した純子は、和男の故郷、函館に向かう。純子は和男に神経科を受診してほしいと願っていたが、和男の親友・佐久間(大東駿介)の手助けで和男は通院することに同意する。医師の薦めで、和男は自宅近くを走ることになる。会社には戻れないまま退職し、学食の厨房でアルバイトを始める。純子もロープウエイの案内係を始める。和男の病状は快方に向かい、服薬も減っていく。そんな時、純子が妊娠する。和男は不安定な仕事のまま父になることになる。それが、気づかないうちに和男の重圧になっていたのだ。純子が安定期を迎えた頃、和男は溜めていた薬を大量に飲む…。この作品の中には高校生たちも描かれている。スケボーの上手な高校生と男女二人の仲間たちだ。彼らは和男のランニングに伴走するようになるのだが、深い関係があるわけでもない。そのうち、高校生の一人が崖から海へ飛び込んで死ぬ。その動機もわからないが、和男と殆ど無関係な高校生たちを登場させる作劇上の意味もわからない。映画の登場人物たちは緊密に関係していなければならない。そうしなければ、ドラマが深まらないからだ。無関係な高校生たちを出すのではなく、和男や純子と深く関わる人物を出すべきだっただろう。

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