ザ・バットマン(22年公開DVD)

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長らく続いてきたバットマンシリーズも、ここまで深堀りできたのかと感心する。観客はブルース・ウエイン(ロバート・パティンソン)の両親が路上で惨殺された過去を知っている。それを逆手にとって、脚本・監督のマット・リーヴスは両親の殺害事件には裏があると考えた。市長選に立候補したブルース・ウエインの父親は公約として市の再開発に莫大な寄付を毎年行なうと宣言。その寄付金をめぐっても暗闘があると考えたのだ。それをつきとめたのが、連続殺人鬼のリドラー(ポール・ダノ)。リドラーは孤児で、貧困の中で育った。再開発の真相を知ったリドラーは、多額の寄付金をめぐり私腹を肥やす市の幹部たちと犯罪者たちに強烈な憎悪を抱いたのだ。同じ孤児でも、莫大な遺産を受け継いだブルース・ウエインにも憎しみを抱く。最後のターゲットがブルース・ウエイン、バットマンだ。ハロウインの夜に起きた市長殺しから始まる物語は、殺人現場に残された謎ゲームを解く事で次第に深まっていく。薬物を取り仕切るマフィア、マフィアに操られる警察官、マフィアが営む店に集う市の幹部たち。次々と起こるリドラーによる犯罪と、それを追うバットマンと良心的警察官のゴードン警部(ジェフリー・ライト)。最後はブルース・ウエインの父親の犯した過ちを知り、バットマンは懊悩することになる。ダイナミックな物語が展開する作品だが、マット・リーヴス監督の演出テンポは驚くほど緩やかで、台詞回しもゆっくりとしている。格闘場面は闇の中に光と影を多用して鮮やかだ。浮き上がる人々の顔には苦悩が滲んでいる。女盗賊キャット・ウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)との恋も淡々と描かれている。復讐は何も生まないと思わせていく2時間56分の長編作品。

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