大怪獣のあとしまつ(22年公開DVD)

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庵野秀明総監督「シン・ゴジラ」は、ゴジラ撃退に対処する政権内部の混乱を描いて大ヒットした。三木聡脚本・監督の「大怪獣のあとしまつ」にも似たような構図が見て取れる。予告編に「日本では数多くの怪獣が倒されてきたが、この映画はそのあとしまつを描く初めての作品」と謳ってあるが、その着眼点には感心する。この作品は東映・松竹が初めて共同で製作・配給した作品としても記念すべきものだ。日本に大怪獣が出現する。対テロ部隊としてすでに首相直轄の「特務隊」が密かに作られていたが、怪獣対策に特務隊が起用される。特務隊も国防軍も有効な攻撃ができなかったが、怪獣は突然光に包まれて死ぬ。この光が米国による核攻撃ではないことが表明されるが、謎は残る。首相(西田敏行)らは、怪獣の死体の始末に困る。まず、安全宣言を出さなければならない。環境大臣(ふせえり)が怪獣の死体に乗って、生放送して安全宣言を出す。安全が確認された死体には、国際的な関心が集まるが、死体からは極秘に菌糸が採取されていた。国民の怪獣への関心が高まり、観光的にも注目されることになり、政府は怪獣の死体に「希望」と名付ける。だが、死体からは腐臭が漂い始め、問題となる。政府はこの匂いを「銀杏臭」と発表するが、腐臭を放置するわけにはいかない。環境大臣らは、近くのダムを決壊させ、大量の水で怪獣を海に流そうとするが、失敗。腐臭問題が急浮上する…。脚本は怪獣の始末を巡る政府内部の各大臣の駆け引きを面白く描き出す。三木監督夫人でもあるふせえりが環境大臣として大活躍する。環境大臣秘書官・ユキ(土屋太鳳)と、特務隊責任者・アラタ(山田涼介)、首相秘書官の雨音(濱田岳)の過去、アラタの失踪の謎を絡ませながら、ラストまでコミカルに描かれていく。東電福島第1原発事故当時の政府、東電本社、現場相互の不協和なども彷彿とさせる。謎の菌糸を出したのはコロナ対策での日本政府の混乱も入れたかったからだろうか。どこか間の抜けている官房長官(六角精児)、元特務隊の爆破の専門家・長髪のブルース(オダギリ・ジョー)なども面白く演出されている。ラストには失踪していたアラタの謎も示される。面白い解釈だ。最後には続編の予告がある。予算は半額というのだが…?


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