オペレーション・ミンスミート(22年公開DVD)

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ミンスミートは、英国の料理でミンチが入っている。英国情報部が第2次世界大戦中に行なった偽の死体を使った極秘作戦は当初「トロイの木馬作戦」と呼ばれていたが、死体を扱う作戦なので「ミンスミート作戦」に変更された。1943年、連合軍はドイツ打倒のため、ヨーロッパへの侵攻を狙っていた。上陸目標地点はイタリアのシチリアだったが、ドイツ軍からの猛攻撃をかわさなければ大きな犠牲が出る。英国諜報部は、様々な作戦を駆使して、上陸地点がギリシャであるかのように見せかけようとした。すでにシチリアの防備を固めているドイツ軍をギリシャに移動させようとしたのだ。20委員会と呼ばれる極秘の会議に出た元弁護士のモンタギュー少佐(コリン・ファース)は、「トロイの木馬作戦」を主張する。偽の英軍将校の死体に「上陸地点はギリシャ」という偽の極秘文書を持たせてスペインの海岸へ流す。スペインにはドイツの諜報網があるから、死体の情報はドイツへ流れていくと考えたのだった。上司のゴドフリー(ジェイソン・アイザックス)は偽りで固めた作戦に懐疑的だった。だが、チャムリー大尉(マシュー・マクファディン)が賛成し、チャーチル首相も同意したため、作戦は決行されることになる。13号室と名付けられた部屋にはモンタギュー少佐、チャムリー大尉、女性事務員のヘスター(ペネロープ・ウイルトン)、後に作家となるイアン・フレミング少佐(ジョニー・フリン)、戦争未亡人のジーン(ケリー・マクドナルド)が集められた。まず、身元不明の死体を見つけ、「ビル・マーティン少佐」と名付けた。詳細な身元が偽造され、恋人からのラブレターまで作られた。精緻な偽装が施され、潜水艦で偽の死体は運ばれる。スペインの海岸に流れついた死体は、漁師によって発見され、警察から軍部へと知らせが届けられる。モンタギュー少佐らは、あたかも英国軍が偽の文書を取り戻そうとしているかのような電話をかけ続け、それをドイツのスパイに盗聴させた。だが、その文書をヒットラーが信じたかどうか、誰にもわからなかった。連合軍のシチリア上陸作戦は着々と準備が進む。ミンスミート作戦が成功していなければ、ドイツ軍は総力を結集して連合軍に襲いかかるだろう。モンタギュー少佐たちは、固唾を飲んで作戦の成功を祈った…。ベン・マッキンタイアー原作、ミシェル・アシュフォード脚本、ジョン・マッデン監督作品。戦争未亡人のジーンをめぐるモンタギュー少佐とチャムリー大尉の三角関係を巧みに織り込み、恋愛模様も楽しめる。モンタギュー少佐の弟に共産主義者の疑いが浮上したり、偽の死体を受け取ったスペインがドイツに知らせずに英国軍に引き渡そうとしたり、波乱含みの展開が面白い。戦後55年を経て、英国政府は偽装に使われた路上生活者の墓に「ビル・マーティン少佐として国に尽くした」と刻印したという。その墓の文字が最後に出てくる。英国政府はこの作戦の詳細を戦後50年以上も隠し続けてきたのだ。

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